人の魅力について

執筆者  山 根 宏 章

演劇人に定年ってあるのかな?僕はもうじき86歳になる、だから・・・でも・・・なぜ・・・。

劇団の経営者として僕は自分の定年を決めなくてはならない羽目になり、今年の誕生日がそれになっている。でも、演劇人としての心の火はまだ燃え盛り、役者としての欲は抑えようがない中でずっと考えてきたのは他者に迷惑をかけないで終わる方法だった。でもなかなか見つからない、芝居屋の仕事は終わりのない旅だから。

僕は、終わりの時をつゆほども考えないで生きてきた、それはとっても幸せなことだと感謝している。劇団の仲間にはもちろん家族にも友人にも神にも仏にも心から感謝している。
それもこれも19歳の時に人形劇団クラルテに誘われて(厳密にいうと誘われたのは僕の兄貴で、その兄貴に唆されてなのだが)人形劇の道に入ったのが幸運の始まりだった。
以来、ぼくは上を見ては憧れてあそこに行きたいと思いを募らせ、先を見ては身を乗り出して我を忘れ身の程知らずと笑われたり、周りを見ては抑えの利かない人まね小僧になっていた。音楽の魅力に憑りつかれ、ダンスの魅力に引き込まれ、異性の魅力に振り回され・・・、何しろ《人》の魅力に操られて生きてきたみたいなのだ、人形遣いのくせに。でもそのせいでいろんな《人》に出会い、いろいろ教わり叱られ助けられた末にそのお陰で今このような形で生きてこられたのだと思っている。
 近頃ふと気が付いたことがある、ひとの魅力は眼の輝きにあると。
 ぼくの家のご近所さんに定年退職してアパートに引っ越してきた独身の男性がいる。悠々自適を絵に描いたように、いつもしゃれたハットをあみだにかぶり手を後ろ手に組んで細身の長身をゆったり揺らせて夢の先を追うようにあたりを眺めながら歩いている。
 ぼくはひそかに彼のことをダンディーおじさんと呼んでいた。そのうち彼の目が曇っているのでそれとなく話を聴いてみるとシルバー人材センターの仕事が終わりになったとかでなんとなく表情も暗かった。その後しばらく姿を見かけなくなった。
 ところが先日、その彼がいきなり大声で話しかけてきた。なんでも老人たちの足腰の痛みをほぐす《ツボマッサージの体操教室》のような集まりを始めて数か月の間に仲間が60人を超えるほどになったとか。「うぇっ、勧誘されるのか」と身構えかかった僕に、「演劇の宣伝物があったら持ってきてよ、そこの地域センターでやってるから」ニッコリ笑っている。
 とても魅力的な笑顔の中で目が輝いていた。生きがいを見つけ実践していると辺りの人を引き寄せる力が出てくるんだなあと、こちらも嬉しくなった。

 ぼくも、自分の生きがいをしっかり持ち続けて大切な目の輝きを失わないようにしなくっちゃ!よーし、やるぞぉーっ!どうやら2023年の光が差してきたようだ。
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ーシーズン6 人形劇と私ー





(文章:たきたえいみ)

今年度が入団6年目、
そして人生もシーズン6(後述)。
いきなりシーズン6、から書き始めます!
※シーズン1〜5は、都合によりはしょりました。




人形劇が中心にある日常もだいぶ、体に染み付いてきました。
休みの日には映画や動画を観たり、本を読んだりするけれど、終わったあとはいつも仕事のことを考えている自分がいます。



思えば、今までの人生はいつでも何か『夢中になったもの』を中心に回っていました。

幼稚園の時はお人形遊び(シーズン1)、
小学生の時はピアノ(シーズン2)、
中学生の時は勉強(3)、高校生は部活(4)、音大生の頃はもちろん、音楽(5)。
そして、人形劇(シーズン6)。



ポポロに入団して間もない頃は、とにかく仕事を覚えることにいっぱいいっぱい。
仕事を覚えて改めて人形劇と向き合ってみるとその奥深さにハマり、新しい世界に夢中で潜っていきました。



そして、今。
色々な部分で、分岐点に来ています。これからどんな人形劇をやっていきたいのか、自分はどんな風になっていきたいのか。


コロナ禍で以前よりのんびりじっくり時間を過ごせる日々。
50周年事業の会議をしながら、
ルドルフの自主稽古をしながら、
50年分の手書きの電話帳の整理をしながら、
目の前の色〜んな仕事をこなしながら、
人形劇について、自分について、
考える日々を過ごしています。



この頃色んな悲しいニュースが耳に目に飛び込んでくるので、無力さを感じて打ちひしがれる夜もあるけれど、
こうして夢中になれるものがある事は、とっても幸せなことですよね。


私もどこかで孤独を感じている人たちに、夢中になれる何かを届けられるような、そんな表現者になれると良いな。
そんなふうに心を奮い立たせて、今週も頑張ります!


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来月中旬に、兵庫県は姫路市にて今年度初の『ルドルフとイッパイアッテナ』の公演があります。
今から少しずつ、人形とひとつになる訓練中…
16:27 | その他 | comments (0) | edit | page top↑

健全な精神は健全な肉体に宿る

こんにちは、禄里です。


人形劇は体力が重要なんです。

異論ありませんかね?まあ言ってしまえばどんな仕事でも体力は重要ですが、人形を思ったとおりに遣うためには自分の肉体もしっかりコントロールして動かさなければなりません。同じ姿勢が長く続いたり無理な体勢で操作しなければならなかったりと、上演が終わると汗びっしょりでございます。となるとやはり人形劇は肉体労働系の仕事になるのでしょうか。とはいえもちろん芸術的、文化的な仕事ではありましてですね・・・ナントカ系とかの分類やめましょうか。失礼いたしました。

さて、わたくしももういい年齢になって来ているので人形を遣うための体力とかが心配になるわけです。もう人間としての体力のピークは当然過ぎていますが、人形劇を遣うための体力はいつでも確実に発揮出来るようにしなければお仕事は出来ません。もちろん今後も人形劇俳優としての全体的なパフォーマンスの向上もささやかながら常に考えておりまして、それには普段の、そして不断の努力が大切ということになってきます。そうです!体力向上!スポーツの秋!レッツ体力づくり!

ゆるゆるとここまで来てわたくしは考えました。では人形劇のために鍛えるべきは体のどの部分なのか?

やはりまずは下半身ですね。ケコミ(体を隠す衝立)の中でも出遣いでも大切なのはアヒル歩き。しゃがんだ状態のまま歩く例のアレです。これは下半身を鍛えなければ。太ももやふくらはぎの筋肉、それから股関節や足首のしなやかさですかね。スクワットや下半身の柔軟といったところでしょうか。

そして長時間でも人形の体勢を常に保ち、動かし続けられるような上半身の筋肉。上腕二頭筋、上腕三頭筋・・・とかなんとか呼称がいろいろありましたですね。それから肩回りの筋肉。これは何とお呼びすればいいんでしょうかね・・・ま、肩ロース霜降り一等筋くらいにしておきましょうか。そして肩関節や手首の柔軟性など。手首は強靭さも必要ですね。この辺りを鍛えるには腕立て伏せや肩回りのストレッチなどはいかがかと。ついでにダンベルとかも持ってしまいましょうか。

よっしゃ!ほんならいっちょ鍛え上げてみよか!
とそんな向上心に燃えて動画サイトのトレーニング動画を検索していたはずが・・・・

・・いつの間にやら
「一日5分!お腹周りはこの筋トレで一撃!」
「膝の痛みは実はココで治ります!」
「腰痛ストレッチ!痛み撃退から予防まで!」
などの動画を熱心に視聴してしまうのでした・・・。


「おれも落ちぶれちまった」(イッパイアッテナ)
14:19 | その他 | comments (0) | edit | page top↑

夏の残り香と幽霊?

こんにちは
台風が度々訪れて、夏の香りを遠くへとばしていってしまったのを感じます。この場所で秋を感じるのは二度目になりますが、ベランダに落ちている金木犀の甘い香りはどの町でも変わらず、ほんの少し郷愁を感じました。

さて、そんな季節の変化の感傷に浸る暇も暇も無く、ポポロは大忙しの日々を過ごしています。
先輩たちは連日旅公演。帰ってきたと思ったらまた旅に出て、そして息つく暇も無く次の旅へ。劇団で見る姿もすっかり減り、少々寂しいですが、こうして活気が戻りつつある今が嬉しくもあります。

一人で過ごす劇団はやけに静かです。ジッとしていると時折どこからともなく「ミシ……」「パキ」という音が聞こえてきて、稽古場のほうを見に行くのですが正体はつかめないまま。誰もいないはずのトイレから物音がしたり、美術室から絵の具が落ちる音が響いて見に行けども誰もおらず、また機械が定期的に発する「ピーッ」という音やFAXを受信した音が普段の数倍の音量に聞こえていちいち驚いたり……。
今のところお菓子が減るなどの被害は無いので安心です。しかし、夏の名残ですかね。まだまだ私の知らない劇団の姿があるようで、ドキドキします。

そしていよいよ、来週には「じごくのそうべえ」もはじまります。
個人的な話になりますが、初めての大きな舞台、先輩方との共演となりますので、既に緊張しています。絵本や映像で見てきた作品に出演するというのは、とても感慨深いものです。

なんだか、停滞していた時間が少し動き出したような心持になりますが、まだまだ油断は許されず、気を引き締めて行かねばなりませんね。

楽しいものを楽しめる、そんな日々がまた戻ってくることを祈って。

ながや

14:45 | その他 | comments (0) | edit | page top↑

かわりゆく季節

朝晩はだいぶ過ごしやすくなってきました。雨がしばらく続いてようやく落ち着いたかな?と思ったらもう満月が一年で一番美しい季節になっていました。
人形劇に限らず舞台関係の仕事は、相変わらず厳しい状況です。こんな時こそ今までやれなかった事、やらなかった事に手をつけてみるのも良いかなと思います。くよくよしても始まりませんからね!
人形劇につながるような事例えば基礎体力作りに足腰を鍛えてみるとか、世界名作シリーズを読んでみるとか、もしくは直接人形劇とは関係ない事にチャレンジしてみるなど、季節が静かに秋へと移り変わり始めたこの時期ふと思いました…まあ無理に何かしなければという話ではなくて、自分自身がどうも最近、時間の使い方がうまくないなと思っていまして、さあ、少し見直そうと、じゃあどこから何を始めよう?と考え中です。
すっかり取り留めのない話になってしまいましたが、季節の変わり目のなか早く明るい季節へと希望を胸に日々精進したいです。
作成者田村
19:55 | その他 | comments (0) | edit | page top↑

夏によせて2021

こんにちは、禄里です。


夏くんは去ってしまった。

もう少し一緒にいたかったのにいつの間にかいなくなってしまった。
夏らしいこともしてあげられないうちに。
夏らしいことを何も感じられないうちに。


とか何とか言っちゃってビールは何だかんだで例年通りたくさん飲んだ。缶以外のビールは全く飲めなかったけど。
アイスはあまり食べなかった。暑い中でかき氷でも食べたかったなあ。練乳まみれイチゴみたいなやつ。
夏のスタミナ料理みたいなのもあまり食べなかったかしら。ゴテゴテにタレで焼いた肉とか食べたいなあ。焼き肉バイキングとか。当たり前に食べてない。
夕焼けの中から聞こえてくる盆踊りの音もここんとこ耳にしていない。さびしいなあ。あれに僕の心は毎年ときめかされていたのに。
猛暑の中を汗にまみれて芝居することも今年はあまりなかったし、汗にまみれて人形劇を観てくれる子どもたちの姿もそんなに見ることが出来なかった。
残念だけど。仕方ないんです。いろいろね。

───────

今年は雨が多かった。

そういえば雨が多かったせいか今年は空に虹がよくかかりましたね。見ましたか?僕も三、四回ぐらいは見たな。

来年はきっとギンギンに晴れていいことあるよね。
言うじゃないですか、雨の後には虹が出るって。ノーレイン、ノーレンイボー、ってやつ。

夏くん、今年もありがとう。
というわけで来年はギンギラギンに暑いのをいっちょう頼むよ。


17:17 | その他 | comments (0) | edit | page top↑

夏とばけもの

こんにちは。
夏も真っ盛りで、茹だるような暑さのつづく日々ですね。蝉の声が稽古場にも響き渡っています。
私は、ここ最近自宅の玄関口に手のひらくらいの大きさの蛾が現れるようになり、今日はいませんようにと祈る日々です。

世界は目まぐるしく変化し、平穏はまだまだ遠く不安と焦燥が日々募りますが、皆さまが元気にお過ごしできていることを祈ります。

さて、このような情勢ではありますが、感染症対策を万全にした状態で、私たちは公演を続けています。
先日、ポポロで長年愛されてきた「ばけものづかい」に出演してきました!

人使いの荒い御隠居が、3年も勤めてくれたごん助についに愛想を尽かされるところから物語が始まります。
御隠居もタダでは暇をくれない、お前の身代わりを立ててくれと要求し、ごん助は「便利おばけ」が出るというお屋敷を提案します。
しかしこの「便利おばけ」、一筋縄ではいきません。お茶も入れれない、繕いもできない、数も数えられないし文句も多い。
さぁ、御隠居の運命は…!?

落語特有のテンポとノリで夏の暑さを笑い飛ばす、ポポロの真骨頂とも言えるお芝居でした。熱心に見つめてくるキラキラした目を見ていると、今だからこそ、必要なものがあるのだなぁと改めて思いました。

このような情勢の中で公演が行えると言うのも、皆様のご協力があってこそです。
私たちも気を抜かず、稽古に励んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

ながや
08:40 | その他 | comments (0) | edit | page top↑

「あつい日々」

「ばけものづかい」という演目の稽古をしています。毎日35度を越える気温のせいかクーラーのある室内でも、じっとりと汗ばんできます。人が居るだけで発する熱を感じます…
オリンピックやパラリンピックの選手は競技によっては、この暑さの中屋外でやっているわけですから凄い事です。
室内でも今の時期は暑さのためこまめな水分補給をしつつ稽古をしています。なにせ少し動いただけで汗のでる状態なので体調を管理しつつ集中して稽古をしております。
暑いなか熱のこもった稽古が進み次第に作品が形になっていくのを日々感じながら汗を流しております!
なかなか本番の上演が少ない今だからこそ普段できない事見過ごしてきた事など、自分自身を見つめ直していきたいです!作成者田村
13:29 | その他 | comments (0) | edit | page top↑

梅雨明けまして。


関東地方はつい先日梅雨が明け、日が照り付け厳しい暑さが続く毎日。私は駅から劇団まで10分足らずの道を汗だくで日々歩いております。当ブログをご覧の皆様は充分に熱中症対策をされておりますでしょうか、、後遺症が残る恐れもございますので、どうかいつか元気な笑顔でお会いできるよう、お互い対策を欠かさずにこの夏を乗り切ってまいりましょう!


さて話はがらっと変わりますが、8/6より長野県佐久市にて開催されるキッズ・サーキットin佐久2021に当劇団は「ばけものづかい」で参加いたします。私はその演者として。どのような反応をいただけるか、今から楽しみでなりません。が、、


実は明後日7/21に佐久市にて上演のご依頼を頂いており、私はそちらにも演者として参加いたします。そちらで大いに喜んでいただけたなら、キッズ・サーキットin佐久2021にも足をお運びいただくお客様がいたとして、顔を覚えていただいているかも、、そうなら嬉しいなあ。なんて楽しみにしております。上演前から気が早いですけれどね。


長野県のお客様にとびきりの笑顔をお届けできるよう、努めてまいりますので何卒よろしくお願い致します。

                     とがし

18:57 | その他 | comments (0) | edit | page top↑

種を蒔く日々。






文責: 滝田恵水



「おうちじかん」が増えてからというもの、様々な趣味が出来た。
 


地元の幼なじみの影響でハマりだしたのが、手話。やりたい!と思ったその日にひらがな50音や簡単な自己紹介から始めて、それからジェスチャーのような簡単な手話を繋いで、好きな歌を手話で表現したりして楽しんだ。


私は何をするにも「かじる程度」では満足できないので、ハマると時間を忘れてその世界に没頭してしまう。ひととおり満足して我に帰った時には、疲労感がハンパない。



手話の後は「詩」だった。
人形劇に良さそうな題材を探す中で、谷川俊太郎さんやまどみちおさん、工藤直子さんの詩に出会い、その可愛らしく力強い世界に魅了された。
そうなると(?)自分でも書いてみたくなるのが私。
詩をいくつか描いてみて、出来そうなものは曲もつけて歌にしてみた。あまり上手くはいかなかったけれど。


それから少し経って、禄里さんからある演劇の台本を借りて読んだことで、今度は歴史の世界にハマってしまった。劇に出てきたのは明治から大正にかけての日本だ。
作品の中に出てくる当時の政治・思想・そしてその時代に生きた歴史上の人たちの残したもの。それらを高校の受験勉強ばりにノートに書きなぐり、勉強する。年表をつくる。人物達の相関図をつくる。
ひととおり理解したところで、満足して終了。



それが落ち着いたところで、またまた禄里さんが新しい台本を持ってきた。今度はコントだ。案の定、ハマってしまう。
帰宅後、もっとコントの世界を堪能したくて、家で芸人さんのコントを見漁る→自分でも書きたくなる→コントを書き始める←←今ここ!




こんな風に毎回その世界にどっぷり使っていると、ふと我に帰る瞬間がある。
『あれ?これって、何の役にたつんだろう…。』
小学生の頃算数の勉強が嫌で、同じことを考えていた気がする。



でも、今の私はその時とは違う考えに行きついた。
色んなものに影響を受けて、その世界に触れていく毎日を、私は「種まき」だと思っている。

しっかりと種を蒔いて育てていけば、いつかきれいな花が咲くかもしれない。
咲かない、かもしれないけど。
でも、たくさんの色んな種を蒔いて、その花たちがあちこちに咲いていったら、ターシャ・テューダーの庭のように素敵な景色が見られるかもしれない。



いつかこの長い冬が明けたときに色んな花を咲かせられるように、この自由気ままな種まき作業は続けていこうと思う、そんな今日この頃なのでした。

それではまた!
14:44 | その他 | comments (0) | edit | page top↑